仕事術を語る上で外せないのが「タイムマネジメント」です。
「学生の頃と違って社会に出たらやたら時間にうるさくて面倒。」と思う人もいるかもしれませんが、それは大きな間違い。
なぜなら、受験勉強は実はタイムマネジメント力を競っているとも言えるからです。
タイムマネジメント力さえあれば、浪人生はもしかしたら浪人せずに済んだかもしれませんし、現役生はもっとレベルの高い大学に合格できたかもしれません。
時間をうまく使えるかどうかは、受験や仕事はもちろん人生の全てのシーンにおいて大きな差となって現れます。
今回は仕事や勉強だけでなくプライベートでも上手に時間を使う技術である「タイムマネジメント」について、お話しします。
1. タイムマネジメントの正体は「計画と管理」
あなたは「パーキンソンの法則」というものを聞いたことはないでしょうか?
時間があっても、なぜか期限ギリギリになってしまう現象のことです。
いつもより早起きしたので朝にいろいろやっていたら、かえって遅刻しそうになったなんて経験は誰でもあるのではないでしょうか。
そのメカニズムは時間管理と密接な関係があります。
タイムマネジメント力がないと、時間があっても上手に使えずせっかくのチャンスを潰してしまうのです。
そもそも“タイムマネジメント”とはいったい何なのでしょうか。
直訳すると時間管理ですが、その実態は「管理」だけではなく“段取り”といった「計画」も含みます。
つまり、時間に対する「計画」と「管理」がタイムマネジメントの正体なのです。
なお、ここでいう「計画」は、合理的かつ効率的に作業できるよう順番を工夫した上で、タイムスケジュールを組むことを指します。
タイムスケジュールのポイントは、優先順位を意識しながら、無理のないスケジュールにすることです。
時間が足りなくなる人は、そもそも無謀なタイムスケジュールを組んでいることが多いので、正確な所要時間を把握し、あれもこれもと欲張らない計画を組むことが大切です。
そして、「管理」とは具体的には時間の状況把握とそれに合わせた軌道修正のこと。
作業の締切と進捗状況を常に意識し、もしスケジュールに対して遅れたら、急いだり一部予定を削減するなど適切に対応します。
詳しくは事項でお話しますが、時計を頻繁にチェックするなど時間に対する感覚を持つことが重要です。
「無理のない計画」と「適切な管理」
「計画と管理」というと難しく聞こえてしまいますが、実際、会社に出社する時など絶対に遅れたくない場合は、みんなこの「計画」と「管理」を行っています。
例えば、電車に乗るために出かける時は、電車の「出発時刻」に対し、家から駅、駅に着いてからホームまで何分かかるか計算し、多少遅れても大丈夫なように計算して出発し、駅に着いたタイミングなど通過点で予定より遅れていないかチェックするといった具合です。
仕事を時間通りに終わらせるには、この「無理のない計画」と「適切な管理」が非常に大切なのです。
2. タイムスケジュールは時間の家計簿?
ところで、タイムマネジメントの「あと何分時間があって、これからやる作業は何分で終わるかを予測し、残り時間をやりくりする」というところは、ちょうど残高と出費を調整する家計管理とそっくりですよね。
“時は金なり”とも言うように、時間とお金の両者はその特徴と扱い方といった性格が非常に似ていると思います。
時間はお金と違って、何もしなくても貰えるため、そもそも「持っている」「少なくなっている」といった意識を持ちにくいですが、実は“お金持ち”と一緒で“時間持ち”の人とそうでない人がいます。実際、さまざまな事情で「お金はないけど時間はある」という人もいれば、お金は持っているが自由な時間を得るのが難しい人も多いのです。
自分が持っている時間を意識すること≒時間通帳の残高を意識することは、タイムマネジメントの第一歩と言えます。
まずは1日単位、1週単位で休みや仕事における自分の“持ち時間”を常に意識し、お金の使いすぎに気を付けるように、時間の使いすぎに気を付けてみましょう。
どんな事に何分くらいの時間を割り振るのかを決める「無理のない計画」を立て、時間に遅れているか間に合っているのかの正確な判断を行い、常に残り時間を念頭に置いて逆算して考える「時間管理」を身につけ、「時間の家計簿」を意識するようにしましょう。
3. タイムマネジメント上達のポイント3つ
それではいよいよタイムマネジメント力をUPさせる方法についてですが、タイムマネジメント を上達させるには、主に以下の3つのポイントがあります。
- [意識] 時間に対する高い意識
- [感覚] “時間感覚”を研ぎ澄ます
- [節約] スピードと要領で時短
詳しく見ていきましょう。
[意識]時間に対する高い意識
まず、最も重要なのが時間への意識を高め、時間に対して“厳しさ”をもつということです。
時間があることに感謝し、時間を使うことに対して真剣かつ厳格であることが重要です。
遅刻する人は、基本的にココが弱いパターンが非常に多いです。
タイムマネジメントに苦手意識がある人は、まず「心の口グセ」から改めましょう。
悪い例
「まあいいや、遅れても」「間に合うといいな」
良い例
「絶対に遅れない!」「必ず間に合わせる!」
お金にルーズな人は、たとえ何かのきっかけで大金を得ても、浪費してあっという間に使い切ってしまいます。
時間も有限であるということを忘れず、常に節約意識を持っていないと、どんなに時間があっても足りません。
過去、夏休みやGWに時間を有効活用できなかった、宿題が終わらなくて夏休みの終わりに泣きながら仕上げたといった経験を繰り返している人は要注意です。
「厳しさ」と聞くと暴力やパワハラなどネガティブなイメージが湧いてしまう人は、「正確さ」「真剣さ」「高い意識」「強い意志」などのポジティブワードに言い換えましょう。
[感覚]“時間感覚”を研ぎ澄ます
続いて金銭感覚ならぬ時間感覚を磨きます。
何も考えず、自分の時間を闇雲に使いすぎると、睡眠時間不足などに跳ね返ってきて、効率が落ち、さらに時間がなくなるという無限ループにはまってしまいます。
作業を間に合わせ、時間を使いすぎないようにするためには、時間経過の感覚、つまり時間を捉える技術(予定に間に合っている・遅れていることを察知する技術)を身に付けることが大切です。
音を聞き分ける感覚を研ぎ澄ました絶対音感のように、「絶対“時”感」を身につけましょう。
感覚を磨くコツは、現在の時刻を1時間を15分で区切って4部構成で把握することです。
例えば、0分~15分までが「1部」、15分~30分までが「2部」といった具合です。
デジタルでもアナログでも好きな方で構いませんが、なるべく見やすいところに時計をたくさん置いて「没頭しすぎて時間を忘れる」ようなことがないようにします。
※もちろん集中して作業することは大事なのですが、同時に時間感覚を持たないとペース配分に失敗してしまいます。
例えば試験時間が80分のものは20分ずつに、60分のものは15分ずつに分けると急ぎ過ぎず・遅すぎない適切なペース配分を守ることができるというわけです。
何かに没頭しやすいタイプの人は、時間を忘れて作業するので高い成果をあげる一方、完璧に仕上げようとしすぎるあまり時間切れに陥りやすいので、タイマーや時計などを使って絶対時感を身に付け、タイムスケジュール通りの作業を行うことに気を付けましょう。
[節約]スピードと要領で時短
最後は時間を効果的に使う方法です。
同じ目的の作業でもやり方次第で必要な時間が全く変わってきます。
時間短縮、いわゆる“時短”ですね。
お金を無駄遣いせず節約するのと同じで、時間も無駄遣いを防ぐことが重要です。
今回は効果的な4つの方法を紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
1. グズグズせず、早めに取り掛かる
スタート自体が遅いと、予定通りにいかない時にあっという間に時間切れになってしまいます。
戒めのことわざである「案ずるより産むがやすし」「下手な考え休みに似たり」などからも、先人たちも同じような失敗を繰り返してきたことが伺えますね。
考えすぎて行動できない罠にはまらないよう、まず、始めてみましょう。
2. テキパキと作業し、完璧にこだわり過ぎない
2番目は最もシンプルな「作業自体のスピードアップ」です。動きを早くするなどはもちろんですが、スピードだけでなくリズムも大切にしましょう。
「テキパキ」という言葉は、一つ一つの動作が早く、ムダな動きがなくリズミカルに作業する様子を表現していると思います。
常にテキパキと動く姿をイメージしながら作業するようにしましょう。
また、完璧にしようとこだわり過ぎて仕事が遅くならないように気を付けましょう。
案外、ていねいに慎重に1回作業するよりも、早め早めに作業して繰り返した方が完成度が上がりやすいものです。
3. 複数の作業を平行して行う
3つ目の方法は、いい意味でのながら作業(同時進行で作業)を行うことです。
集中してやる作業は集中しつつ、同時進行が可能なタスクは意識の裏側(バックグラウンド)で作業すれば時間を効率的に使えます。
これには、優先順位を意識し順番を工夫する「段取り」の上手さがものを言います。
また、作業をMIXすることで、同じ作業の連続から気分転換も計ることができ、一石二鳥の効果もあります。
仕事は種類によっては、1つ1つ片づけるだけでなくあえてのながら作業も大変おすすめです。
4. 常に時短できないか考えながら作業する
実際に作業している間も、「今やっている作業は実は省けるのではないか?」「他の作業でカバーできないか?」「もっと短い時間で行う方法はないか?」等を考え続けます。
大きな段取りだけでなく、ひとつひとつの動作に至るまでムダを省くことは、成果を最大化する上で本当に大切です。
お金を使うのに家賃や固定費はもちろん、日々の買い物などムダな出費を抑制することが大事なのと同じです。
こちらも慣れれば当たり前にできるようになりますし、その効果は圧倒的ですので習慣化することを強くおすすめします。
ココがポイント
「意識×感覚×節約」がタイムマネジメント上達のポイント。お金の上手な管理には、「ムダ使いをしない意識」と「自分の収入に合った金銭感覚」「上手な節約」が大切なのと同じです。
4. まとめ
- タイムマネジメントのコツは「無理のない計画」と「適切な管理」
- タイムマネジメントは家計管理とそっくり!「意識×感覚×節約」がポイント
いかがでしたでしょうか。
今回は、仕事術の中でも特に重要な「タイムマネジメント」について、お話しました。
時間を上手に使うことは仕事や勉強だけでなく、あらゆる目標を達成するための非常に重要なスキルです。
さきほど時間はお金と似ているとお話しましたが、実際、目的のための「努力」とは自分の自由時間を投資する作業に他なりません。
今回紹介したノウハウを使って、自分が持っている「時間」をコントロールし、仕事はもちろん、人生での大きな成果に役立ててみましょう。